パタンキャンバス(エッセンシャル版)のテンプレート

パタンキャンバス(エッセンシャル版)のテンプレートを公開しました。

PowerPointのテンプレートは、スライドのレイアウトとして使います。

みなさま、ご活用ください。 @motohasi

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パタンの書き方 – はじめてのパタン執筆者のためのラフなガイド

Tim WellhausenさんとAndreas Fießerによる『パタンの書き方 – はじめてのパタン執筆者のためのラフなガイド』を翻訳しました。ぜひご参照ください。

文中の図は、Andreasさんが自ら日本語を当てはめていただきました。Andiさん、ありがとう。

@motohasi

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日本のみなさんへ建築家アレグザンダーからのメッセージ

建築家クリストファー・アレグザンダー教授からのビデオメッセージ。
2011年9月5日、建築家中埜博氏によるインタビューでアレグザンダー宅で撮影され­た。
アレグザンダー氏は「多くの国々で、人々が失望感にとらえられている。問題は、どうす­ればよいのかです。」と話し、彼の「大いなること」を語った。

語られていることは、まさしくパタンのコアそのものである。

本橋 正成 (twitter.com/motohasi and facebook.com/motohasi)

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アジャイル、組織文化診断、組織文化モデル

アジャイルと組織文化

アジャイルと組織文化についての関連について言及されることはありますが、なかなか突っ込んだ調査や報告が見られていませんでした。この記事ではアジャイルに深い関りのある組織文化について、どのような調査方法があるのか、その結果をどのように生かしていくのかについての見解を述べています。

  • :Author: 懸田 剛(Takeshi Kakeda)
  • :Twitter: kkd
  • :Facebook: takeshi.kakeda

組織文化とアジャイル

アジャイル開発の文脈で、組織文化について触れられることは年々増えていますが、実際に組織文化について深く解説している文献を筆者はあまり知りません。筆者が知る限りでは、Mary & Tom Poppendieck氏らのリーン開発と組織改革 において、ホフステード氏の多文化世界 が紹介されています。ホフステード氏の研究では、組織文化より前に、国別の文化の分類として「ホフステードの四次元」(現在は五次元)と呼ばれるディメンジョンを用いての特徴を分類しています。本書では日本は特に不確実性回避の傾向が高いとの報告があります。しかしこの調査は、組織文化というよりも国別文化のため、組織毎の文化の傾向を表現するにはやや足りない印象があります。

Jean Tabaka氏のCollaboration Explained (未邦訳)では、William Schneider氏のThe Reengineering Alternative (未邦訳)のモデルを引用してアジャイルが内包する組織文化を表現しています。この書籍は組織文化を2の軸(Actuality(現実性)-Possibility(可能性)と、Impersonal(非個人的)-Personal(個人的)上で、Collaboration(協調), Cultivation(育成), Control(管理), Competence(競争)という四象限で分類し組織文化の表現を試みており、それぞれの組織文化についての特徴と異文化間の移行についてのガイドを提供しています。(各項目についての説明は、Schneider氏の説明に詳しいです。) ちなみに、Jean Tabaka氏はアジャイルの組織文化をCollaborationと位置付けています。

The Reengineering Alternativeでは、組織文化の調査方法を Core Culture Questionaireとしてまとめており、独自に調査することもできます。(PMI NYCのサイトにアンケート項目のファイルがあります)。昨年の Agile Conference2011においても、このReengineering Alternativeが紹介されたようです。そのせいもあって、昨今アジャイル開発の文脈で取り上げられることが多いようです。1, 2

更には、今年のAgile2012でも本書のモデルをシュナイダーモデルとして紹介していたようで、日本でも話題になってきています。

競合価値観フレームワークとOCAI

筆者も当初は、このSchneider氏のモデルを使ってAgileと組織文化の変化について調べていましたが、組織文化の診断において、このReengineering Alternativeよりも著名な研究および書籍があることを知りました。それがDiagnosing and Changing Organizational Culture: Based on the Competing Values Framework(邦題: 組織文化を変えるです。 本書籍では、Competing Values Framework(競合価値観フレームワーク)をベースにしたOrganization Culture Assessment Instrument(OCAI)という調査手法を提供しています。2012年3月に公開された、IPAの「非ウォーターフォール型開発の普及要因と適用領域の拡大に関する調査 ~国内の中規模及び大規模開発プロジェクトへの適用事例調査~」において使われている組織文化診断も競合価値観フレームワークとOCAIを利用しています。

競合価値観フレームワークも先の Reengineering Alternative のように2つ軸と4象限を使っていますが、OCAIでは「どの象限に分類されている」ではなく「どの象限の度合いが強いか」という表現を試みています。また調査項目の回答項目が6項目と少ないため(Core Culture Questionaireは20項目)、被験者が回答しやすいという特徴があります。また「組織文化を変える」の中で、回答項目が少なくても調査精度は変わらないことも説明されています。

競合価値観フレームワークでは、「柔軟性、裁量性」と「安定性、統制」の軸、「組織内部に着目する傾向と、調査」と「組織外部に着目する傾向と差別化」という2の軸で構成された、4つの象限で表現されます。

4つの象限は以下の通りです。

  • 家族文化
    • 組織の柔軟性や人々への気遣い、顧客への心遣いを伴う組織内部の維持を重視する組織。協調を重視する。
  • イノベーション文化
    • 高い柔軟性と革新性が特徴的な、組織外でのポジショニングを重視する組織。創造性を重視する。
  • マーケット文化
    • 安定性と統制の必要性を強く認める、組織外のポジショニングを重視する組織。競争を重視する。
  • 官僚文化
    • 安定性と統制の必要性を強く認める、組織内部の維持を重視する組織。管理を重視する。

この象限を見て気づかれた方もいると思いますが、「どれかだけが大事」ではなく「どれもが大事」な項目です。ただし、組織の置かれている状況で「何を重視するのか」が異なります。

先のIPAの報告書の調査においてプロジェクトチームを被験者として「ウォーターフォールの時の組織文化がどうであったか」、「非ウォーターフォール(アジャイル)の組織文化はどうであるか」という二通りのパターンでOCAIと同様の調査をしています。競合価値観フレームワークでそれぞれの組織文化を表現した上で、(1)ウォーターフォールと非ウォーターフォールで組織文化の何がどう違うのか、(2)元々の組織文化の違いがアジャイルへの移行のスムーズさに影響しているのか、について調査しています。

(1)についての調査結果では、ウォーターフォール型の開発の文化では、何よりもコントロールが重視され、協調や創造といった度合いが低くなっていました。他方、アジャイル型の開発を実施している組織文化では、管理が極端に低く、その代りに協調、創造といった象限の度合いがより高くなっています。また競争についてはウォーターフォールもアジャイルもそれほど違いのないことがわかりました。

(2)についての調査結果では、組織文化がウォーターフォールと非ウォーターフォールで大きく変わる場合には、文化的問題が発生している、という結果が出ています。(報告書P93〜94)

組織文化診断ツールの使い方

さて、仮に紹介した組織文化の診断ツールをどのように用いるかについてですが、筆者は3つの使い方があると考えています。

個々人の捉える組織についての見方のギャップを知る

各人が「組織文化」をどのように捉えているかのギャップを知ることで、今の組織の文化という空気のような存在が、より形を帯びて視覚化されていきます。人によっては捉え方が全く異なる場合もあるはずです。その場合においても、対話の前提となる捉え方の違いを明らかにすることは重要なのです。

理想の組織文化を見える化して対話を促進する

「今の組織のXXが悪い」「こうすべきだ」といった個別の不平不満を言うのは簡単ですが、では実際にどのような形の組織文化が理想なのか、ということについての共通見解を見出すのはなかなか困難なことです。これら組織文化の診断ツールを使うことで、文化という捉えどころないものを語る手助けになると考えます。

組織文化とその変化のパターンを見出す

仮に今の組織文化の状態が何らかの形で見えるようになったとして、それがどのように役立つのでしょうか? この部分は筆者も試行錯誤中ではありますが、まずは「今の組織文化がどのような状態なのか」と「変えたい組織文化がどのような状態なのか」のAs-IsとTo-Beのギャップを知り、どう理想に近づけていくかを行動していく事例が増えていく中で、組織文化移行のパターンが見えてくるのではないかと考えています。

組織文化を考えるフレームワークとして使用する

これまでの使い方は、アンケートの結果を元に組織文化を見える化する使い方でした。しかし今年のAgile2012でシュナイダーモデルが取り上げられたように、単にフレームワークとして現在の組織文化や、これから向かいたい組織文化について考える使い方にも価値があります。

まとめ

アジャイル型の開発を導入し組織に広めていきたいと考える際には、現在の組織文化についての診断をOCAIを用いて実施する、あるいはCompeting Values Frameworkのモデルを使って、組織文化をどう変えていきたいのかについて、話し合うネタにしてみてはいかがでしょうか。OCAIや競合価値観フレームワークは、会社組織という単位でも、部という単位でも、チームという単位でも利用することができます。実際に筆者がコーチするチームでもOCAIをベースにしたアンケートを実施して、競合価値観フレームワーク上で組織文化を表現しています。

また、OCAIは現在の組織文化の診断だけでなく、これからのありたい組織文化を表出化して、現状と理想の比較してギャップを知ることで、どこを強めていけばよいかの示唆を得ることもできます。ギャップが大きければ大きいほど、その変化への抵抗や反動も大きくなることが想定されますし、そのような変化への対応としては、別途 Fearless Changeのような組織を変えていく際のテクニックに言及した書籍が参考になるでしょう。

今年のAgile2012において競合価値観フレームワークを使うセッションがあったようです。@haradakiroさんが参加したそうですので、今度聞いてみたいと思います。私も来年には、Agile2013で、日本における組織文化変革とアジャイルについての話をしてみたいと考えています。

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